
文学思想個人編集誌「路上」の編集発行人で、
「河北新報」歌壇選者を務める佐藤通雅氏の第10歌集
昔(むがす)むがす、埒(らづ)もねえごどあつたづも
昔話(むがすこ)となるときよ早(はよ)来よ
「すべてが浄化されて昔話として語られる日はいつのことだろう、1000年先のことだろうか、その日に早くなってほしい」という祈りを、東北の<昔話(むがすこ)>に託して――。(帯文より)
●歌集より5首
・背も足も冷えて眠れずhelp!help!応へくるるは余震のみにて
・何の罪ありやと問へる間もなくて波に呑まれたる万の人らよ
・十日目の朝は来むとし稜線にあらはれいづる梢の綾目
・あの日から――といひたいことのなんと多いあの日のまへがもうないかのやう
・死体と遺体この境界を説かむとしわけもなく萎えるけふのむらぎも
A5判上製カバー・184ページ
装幀:佐藤 淳