東京電力福島第一原子力発電所が立地する福島県双葉郡大熊町で、農業に従事しながら“反原発”の短歌を詠みつづけてきた
歌人・佐藤祐禎が平成16年に刊行した幻の第一歌集『青白き光』を文庫版として再版いたしました。
福島第一原発事故から25年以上も前から、原発や放射能の危険性、東電の欺瞞、
原発立地地域住民の苦悩などを短歌で訴えた本書は、
まさに「予言の書」として、今こそ多くの方々に読んでいただきたい歌集です。
●歌集『青白き光』より―
・いつ爆ぜむ青白き光を深く秘め原子炉六基の白亜列なる
・小火災など告げられず原発の事故にも怠惰になりゆく町か
・原発に勤むる一人また逝きぬ病名今度も不明なるまま
※また、本書には原発関連の歌だけでなく、家族や自然を詠んだ秀歌も多く収録しています。
こうした家族との日常や身辺の自然を根こそぎ奪われてしまったことを思うと、
「原発の歌だけは私の心の叫び」(あとがき)という著者の言葉がいっそう痛切に響いてきます。
<いりの舎文庫1>
文庫判カバー装・120ページ